最遠へ

 

空の風景ばかりを描いていた作家。

学生時代にアルバイトをして少しずつ買いそろえた絵があります。

なぜあそこまで執着していたのだろう。

僕も、あの作家も。

 

 

 

 

 

はるさん、25歳 おめでとう。

誕生日だから20年、サバよんであげます。逆鯖です。

いつまでたっても貴女がうちの最年長!

 

あなたは自分がなるべき理想の衛生士像を、固めてゆく旅をしています。

確固たるまなざしで、ゆるぎなく高みを目指して。

 

貴女に比べれば、僕の理想なんて、くゆらせた一煙で。

その一煙は、香炉のように人を包むでもなく、狼煙のように人に伝わるでもなく。

少し高く昇ったら風に流され、かき消されてしまいます。

 

自分自身に、もしくはあなたの置かれた環境に対して、

日々あなたが感じるフラストレーションは吹き上がる気流です。

羽ばたかずとも翼を広げるだけで、あなたを高みへ導きます。

 

 

ただ忘れないでください。

少しの高みから俯瞰するのに慣れてしまうと、人は空を見上げなくなるのです。

そして眼下の視界に身を固め、自分の色を決めてしまうのです。

 

僕らをつつむ最遠の高みでさえ、不確実で不誠実に刻々と表情を変え、

その美しさを見せているのに。

 

才媛へ。